COMITIA153の振り返り トラのこと
初COMITIAサークル参加を終えまして、感想などを残しておこうと思いました。
最初にまずこれを書いておかなければ、
当サークルスペースにお越しくださいました皆様、ありがとうございました。
初サークル参加だし、誰もこないに違いない、と完全に「ボ〜ッと過ごすぞ!」の気持ちで座っていたので、足を止めていただいたり、ご感想をいただいたりして、びっくりいたしました。
当日気がついたこと
会場内に流れている音楽が洋楽ロックだったことにより、デザフェスやコミケなどのイベント会場で流れている音楽についてのストレスに気がつきました。
普段聴いている音楽は洋楽、ロックが好きなので、大体ロックかクラシック、ジャズなども聴いています。コミティアの会場内は気がついたときにはフレディーマーキュリーの声が響いており、その後MUSEが聞こえてきて「あ、このアルバム買ったけど聴くの忘れてんなぁ」などと思い出す流れの数々、ほぼ家というリラックス環境で、スペースにいることができました。
デザフェスやコミケなどのイベントは会場内に、ポップス?や女性ボーカルの楽曲が多く流れているのですが、日本人女性や子供の高い声が苦手(聴いていると息ができなくなってくる)な私は、あの手の音楽が流れていると、胃が痛くなり早く帰りたくなるのです…。早め撤収をできるときにはやや早めに撤収してしまうのはその為ですということに気がつくなどしました。
質問していただくことが多かった内容
「トラちゃんのイラストが好きです」とお伝えくださる方が多かったのですが、私にとってトラちゃんという呼び方はトラに対しての呼び方でして、「トラちゃん」というものが作者の意図と関係なく、受け取る方の中にそれぞれの「トラちゃん」がいるんだなということに気がつきました。
興味深かったです。
そんな中で多かった質問がありまして「トラちゃんはそれぞれ違うトラちゃんですか?」「このトラちゃんはどのトラちゃんですか?」「モデルになっている個体はいますか?」などです。
そんなきっかけで、トラをモチーフを選んでいることやトラという生き物のことも含めて書いておこうかなと以下に書きました。
トラが好き
トラが好きです。
トラが好きなのは気がついたらそうだったので、もう「どうして好きか」や「いつから好きか」などはちょっと思い出せないのですが、幼少期にしょっちゅう連れて行かれていた美術館(民藝館)や博物館(トーハク)で出会う動物たちの中で、龍と虎のモチーフは多く、龍が好きなことと同じようにトラも好きになったと思います。トラについて興味が出たときに父は「動物園にいるから会いにいくか?」とすぐに動物園に連れて行ってくれた人でした。(今考えれば自分が動物に会いたいから、娘がトラ見たいと行ったことに託けて動物園に行きたかったのだと思います。)
中学生の頃は部活や塾で忙しく、そこまで何度も動物園や博物館に足を運べなかったけど年に数回は上野動物園とトーハク、かはくに行ってました。高校に入ると定期券を持っている事により上野に行ってしまうことがグッと増え、上野動物園の年パスを毎年作っていました。
藝大浪人を数年している間も動物園にはフラッと通い、藝大受験の試験教室内からアムールトラの声を聴き(あ〜っおん!てやつですね)ここに通えたらトラの声を毎日聞けるのにと考えてました。
大学に入った頃から、トラそろそろ絶滅しちゃうんじゃない?と考え始め、トラがいない世界なんてなんてつまらないんだろう?と思い、大学出て働き先が増えた頃からWWFに寄付をしています。明確にここからこんなエピソードがあってトラが好き!という話ができないんですが、トラのことを考えることがナチュラルにあるんです…。そのくらいトラが好きです。
動物の擬人化、私物化
動物園の動物に人格を与える。動物園の動物を私物化する。などの人間的な行為が苦手です。
人がナチュラルにやってしまう、人間らしい行為です。それが私には理解できません。動物園に行くことはイコール人間も見えてくるので、人の少ない雨の日や、炎天下の真夏日などに動物園に行くことが多いです。
そういう私なので、「トラちゃん」に求めることは、そういう人間的な感情の受け皿としての存在です。実際のトラに対して抱いて欲しくない感情を創作物のトラであれば抱いてぶつけてもなんら問題がありません。ただ、トラちゃんに対しての感情は動物園に持ち込まないで欲しいという、そこが作者の気持ちです。
動物園にいる動物は、その個体そのものを観察する事と、動物の種類ごとの特徴の観察に留めて、自分ちのペットと同じように感情を重ねるべきではないのではないかと考えています。
私が描いているトラは数種類あるのですが、どれもモチーフはトラです。現代アートの中に生まれ育ったので、アートの考え方で解釈できているのですが、私のトラは私であり、私のトラを通して私の表現であり、トラを描くことが私なのです。というような感じです。トラをモチーフにしていますが、トラはあくまで私の延長に存在しています。
もちろん自分がトラ好きで、トラの種類ごとの特徴などを見分けていたりするので、描いているときにもこの子はスマトラだな、とかこの子はアムールだなとか、こういうことをアムールがやっているといいなぁなどと考えていることがあり、そういうときにできていくるトラは意図的に種類差があります。
余談ですが…全てのトラが好きですがシベリアのアムールトラが一番好きだと思います。案外トラの模様が少なくて、ちょっともっさりしていて、日本の夏は暑いので大体は動物園では日陰で隠れて溶けています。
質問への回答
なんとなくお分かりいただけたかと思います。
「トラちゃんのモデル」はいませんが、トラちゃんは全てのトラを私というフィルターを通して表現しているもので、どんな作家のトラを踏襲してこの形のトラに行き着いたとかでもなく、トラをみていたらこんな形のデフォルメができるようになったという成り行き上こうなっただけのトラで、今の時点ではこうですが、今後どうなるか私にも分かりません。
「それぞれ違うトラちゃん」の場合もありますし、「同じトラちゃん」のときもあります。全てが私なので、同じといえば同じなのかもしれません。
「モデルになっている個体」はいません。いろんなトラを見てそのエッセンスが私に溜まってそれを使って作品を作るので、どう言ったら良いか、モデルになっている個体はいるかもしれないし、その子をそのまま作ることはしないので、いないと言えるとも思います。
面白い、興味深いと思った事
会場で「トラちゃんが好きで」とご申告してくださる方に、「トラちゃんはこっち側にありますよ」とトラのまとめてある卓上の一角をご案内した際に、以下のトラちゃんメガネ拭きに対して皆さん「トラちゃんはないんですか?」とおっしゃった事。


二足直立しているやつも四足歩行のやつも、デフォルメの割合によってトラちゃんとそうじゃないトラのサムシングという風に棲み分けを始めたのか…私のトラは…と、興味深かったです。
最後に
トラを描くことは(多分)ライフワークです。
アートをする創作をする何かしら考えるということもライフワークだと思います。というより、創作することに関してや考えて試行錯誤することは赤ん坊(多分0歳児)の頃からやっていたので、ライフワークというか、そうしない状態がどういう状態なのか想像がつきません。
長い年月描き続けると、同じ形同じものを描いていたとしても、描き手の状態に合わせて変化するのが自然だと思います。今後トラちゃんはどんどん形が変わるかもしれません。
描いている人間は変わらないので、形が変わってもトラちゃんの中身は変わらないと思います。
トラちゃんの変化を一緒に楽しんでいただければ幸いです。
もしも、トラちゃんを通してトラのことが気になってくださった方がいらしたら、近くのトラのいる動物園に行ってみてください。トラを近くからでなくとも大丈夫なので、なるべく動かないようにじっと眺めていると、トラがこいつは動かないんだなと安心し始めるので、小さな声で話しかけてみます。こちらの声を聞いているのが耳の動きでわかると思います。そのうち薄目でこっちを見てきたら、こちらも同じように薄目でうっとり眺めましょう。そうすると満足そうにトラが伸びをしたり、こちらに背中を向けて寝始めたりします。動き回るトラも面白いですが、動き回らないトラの方がトラをじっくり観察できるので、オススメです。
私の住んでいるところから近い動物園は、上野動物園と多摩動物園にトラがいます。
上野はスマトラトラ(どうでもいいことですが、スマトラトラと考えるときトラトラトラが脳裏をよぎります)多摩はアムールトラがいます。ベンガルトラは関東にはいないので、なかなか見ることができませんが、大分と鹿児島の二つの動物園にいるので、九州の方は調べて行ってみていただけるかもしれません。
ついでにホワイトタイガーについても触れておくと、ベンガルの白変種です。ベンガルは黒い縞模様の部分がとても太くなるブラックタイガー(エビみたいですが違います)もいます。珍しくて人気があるホワイトタイガーですが、人の人気のせいで近親で繁殖させていたり、問題が多いのでなるべくそういう人間サイドの力が及ばないようにしていただきたいと思っています。
※ホワイトタイガーの人気に対して嫌だなぁと思えど、白変個体に対しては普通のトラと同じなので、その存在を否定したりはしませんし、居るものなので、描いたりもしています。白黒で描いているトラはホワイトタイガーの表現です。
トラは気になるけど、動物園に行く時間はないなぁという方は、WWFのパンダショップでお買い物をして、地球環境の保全に役に立ちましょう。
トラが絶滅しない未来のためにトラのことを考えるきっかけになったら嬉しいと思っています。
https://my.wwf.or.jp/help/s/article/WWFジャパン公式通販-PANDA-SHOP
長くなりました。
最後までお付き合いくださった方、ありがとうございます。
コミティアの振り返りを含めつつ、トラのことを書きました。
普段生き物関係のイベントに出るときはトラではなく古生物モチーフの作品で出展しています。
コミティアは環境が辛くなかったので、また今後も出ようと思います。
そして味をしめてCOMITIA154の申し込みもしました。今回スペースが狭いことに気がついたので、2スペースとりました。今回並べきれなかった分も、並べられます。カレンダーという名前のイラスト集も見本を置くことができると思います。
それでは11月のコミティアでお会いできますことを楽しみにしております。
お元気でお過ごしくださいませ。